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ダルビッシュ、上原も怒る!高野連判断。聖隷クリストファー高が選抜出場を逃した不可解な理由【篁五郎】

過去にもあった!不可解な選考理由で選抜出場を逃した高校とは?

 

 夏の甲子園大会の主催は朝日新聞社で春の選抜高校野球の主催は毎日新聞社なのはご存じの通りだ。これは毎日新聞社が夏の甲子園大会が成功し、朝日新聞社の発行部数が大幅に伸びたことで毎日新聞社も高校野球大会の主催を始めようしたのが選抜の開催理由である。

 

 1924年に名古屋の山本球場で春季の選抜中等学校野球大会としてスタートし、夏の甲子園大会とは違って、名門、強豪、伝統校が選ばれるケースも増えて野球ファンを喜ばせた。戦時中は中断しており、敗戦後再開を目指したら当時日本を統治していたGHQ(連合国軍総司令部)が「なぜ、甲子園大会が2つもあるんだ? 1つでいいじゃないか?」と疑義を呈した。

 すると当時の毎日新聞社本田親男大阪本社編集局長(のち社長)が「春と夏では違う意義がある。選考基準も違う」「選抜は全国大会ではなく招待試合である」と説得して復活させたのだ。そのため成績だけで選ばないのがウリでもある。

 その象徴が21世紀枠だ。選出に最低条件があり、主催の毎日新聞社は以下の条件だと説明している。

 

 

【21世紀枠出場校条件】

 

1.秋季都道府県大会のベスト16以上

(※加盟校が129校以上の都道府県はベスト32以上)

 

2.以下の推薦例のいずれかに当てはまること

・少数部員、施設面のハンディ、自然災害など困難な環境の克服

・学業と部活動の両立

・予選では良い成績だが強豪校に惜敗するなどの理由で甲子園に出場できない

・創意工夫した練習で成果を上げている

・校内、地域での活動が他の生徒や他校、地域に好影響を与えている

 

 

 つまり文武両道の進学校や被災地の高校、ボランティア活動が評価された高校など、野球とは関係の薄い点が評価されて選出されている。

 

「秋季大会の成績ではない」と言いながら、一方で選考理由に「甲子園で勝てる可能性の高いチーム」としているのはダブルスタンダードに他ならない。聖隷クリストファー高の上村敏正監督は「高野連には抗議文などを出すつもりはない」と語っていた。無念であると思われるが、波風立てずに選抜高校野球が無事に開催されることを願ってのことだろう。

 

 高校生の時間は二度と取り戻すことはできない。高野連も毎日新聞社もそのことを踏まえた上で選考理由の基準を明確化し、今回のことが起きないような措置を講じてほしい。筆者としては選考基準に、一文を追記してほしいものがある。それは

 

「好勝負が期待できる可能性が高いため秋の地区大会優勝校と準優勝校は、校風、品位が高校野球に相応しく日本学生野球憲章の精神に違反しないものであれば出場をさせる」

 

 この一文があるだけで基準は明確になると思うが、どうだろう? 選考委員の皆様の良識にお尋ねしたい。

 

 

文:篁五郎(たかむら・ごろう)

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾にて保守思想を学び、個人でも勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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